Cohana and Ninigi Vol.7 アイトル サライバ さん in スペイン

新シリーズ Cohana and Ninigi

ハンドメイドに恋して、ハンドメイドと生きてる! そんな「人」を特集するシリーズです。手芸でにぎやかに実り豊かに活躍されている「人」を中心に、Cohanaとのご縁を交えて、さまざまな視点でハンドメイドの世界を紹介していきます。

Cohana and Ninigi Vol.7

アイトル サライバ さん in スペイン

スペイン在住のアーティスト。スペインのクエンカ大学で美術を学び、卒業後、数冊の画集や詩集を出版し、様々な賞を受賞。芸術の幅広い分野で評価されています。

アイトルさんの芸術表現のフォーマットには垣根がありません。ドローイング、陶芸、テキスタイル、絵画、ビデオ、写真などその時のテーマと表現にフィットするものを選ぶ自由なスタイルです。

さまざまな分野からのオファーで多くのコラボレーションを精力的に実現し、魅力的なプロダクトを生み出しています。また、彼のアート作品は世界中の美術館やギャラリーで展示されています。

アイトルさんの作品には、豊かな情感と大いなる自由があります。芸術家として、またひとりの人間としての彼の哲学は、多くの人々に届き、支持されています。
近年ではテキスタイル・アーティストとして、また毛糸メーカーとしての活動がますます
盛況で、今後の活躍から目が離せません。

 

Vol.7 前編、Vol.8 後編の2回に分けてお届けしています。前編のVol.7では Cohana との出会いやアイトルさんの活動についてインタビューしていきます。

Cohana を知ったきっかけをおしえてください。

ヨーロッパではCohanaのプロダクトは簡単には手に入りません。インターネットで「関の豆ばさみ」を初めて目にしました。スペインで購入できるお店を見つけるのに苦労しましたが、バルセロナのお店でようやく関の豆ばさみを購入することが出来ました。これがCohanaとの出会い。

実際プロダクトを手にしてとても気に入ったので、「東京のCohanaの日本橋本店を訪ねる!」が日本訪問する時の私のやることリストに入りました。

 

初めて日本橋本店に来てくださった時をよく覚えています。嬉しい思い出です。たくさんお買い物していただきましたね!ありがとうございました。
東京の日本橋本店の前に、2023年の6月にイギリスのループロンドンさんで開催したCohanaの Pop up にも来てくれましたね。

ええ、Cohanaの商品を見ることが出来るいい機会だと思いました。そこで、お気に入りの織り機、ポケおりに出会ったんです。

私が作っている毛糸との相性がすごくいいと、すぐ思いました。そこで私たちはコラボレーションでワークショップ開催の可能性の話を自然としましたね。

 

そうでしたね!そこからコラボでワークショップを開催する計画が始まったんです。1年半の構想を経て、2024年の10月に実際に開催する運びとなり、たくさんのお客様にご好評いただいたワークショップとなりました。ステキなご縁に感謝しています。

アイトルさんのことを教えてください。自己紹介をお願いします。

私はスペインのアイトル サライバ です。森の中の石造りの古い家に住み、そこの湧き水を飲んで、暖炉の火で暖をとって暮らしています。

いつも手帖を持ち歩いていて、文章を書いたり絵を描いていて、そこから自分の作品を生み出しています。作品は主にテキスタイルアートにフォーカスしていますが、そのほかのフォーマットで生まれるときもあります。

 

あなたのハンドメイドヒストリーを教えてください。 

私は子供の頃から縫い物をしてきました。母や祖母の裁縫する姿をいつも見ていたので、裁縫は身近な存在でした。

私が育った地域では、1980年代から90年代はテキスタイルが地元の産業の礎として発展していました。その産業も衰退し、完全になくなってしまいました。

私の子供時代はいつも糸やボタンや針に囲まれていました。小直し、ダーニング、生地のリペア、そういったものを子供の頃から目にしていました。

それは「not as an art form, but as a form of survival」つまり「芸術としてというより、生活の術」としてのハンドメイドでした。

 

創作活動はどうやってプロセスされていますか?

私の作品のすべては、私が紡ぎだす文章や絵から始まります。そこのもとになる構想をテキスタイルやセラミックやキャンバスなどに様々なフォーマットに昇華させるのです。自分がどんなストーリを伝えたいのかとか、どんなテクニックを使って伝えたいかによります。でも最近はテキスタイルをよく使っています。テキスタイルが私にとって最も居心地がよく、最も私自身を表現してくれる象徴となるフォーマットだなと感じています。

 

アイトルさんの手作りの毛糸について伺えますか?

私の住む場所では、羊が私たちの生活に欠かせない存在です。羊は私たちの家の周りの草を食べて自由に生きています。羊が家の周りの草を短く整えてくれるから、生活圏が森に呑み込まれることがありません。

スペインではこういった人の生活を守ってくれる羊の毛の回収と利用がされなくなってしまったという現実があり、羊毛がゴミとして扱われるようになりました。私の隣人のホシトと一緒に、この羊毛をテキスタイルの素材として、出来る限り手仕事で、毛糸として命を吹き込むことを仕事としました。天然素材で染めて仕上げています。

 

目の前の問題から、目的がうまれて、それがアイトルさんの意図とクリエイティビティとあいまって、手作りの毛糸が生まれたんですね。

アイトルさんの毛糸には、ただナチュラルで美しいというだけでない魅力があります。

 

アイトルさんの毛糸は、手仕事で生み出されるやさしい色と自然なテクスチャーで東京で開催されたCohanaのポケおりのワークショップでもとても好評でした。

Cohana日本橋本店で開催されたワークショップにて、ポケおりを使ってアイトルさんの毛糸と様々な素材で作られたスカプラリオというお守り。同じ素材で作っても、作り手の個性が出るのも手作りの魅力です。

どんなプロセスを経て物が作られているのかは、見えてこない部分が多いですが、それがとても大切であることをアイトルさんの活動は教えてくれます。どのような基準をもって、手にするものを「選ぶ」べきかを考えるきっかけにもなるように思いました。

アイトルさんのお気に入りCohana

関の豆ばさみ と ポケおり

豆ばさみとポケおりは間違いなく私のお気に入りです。仕事で旅することも多いので、旅行用の持ち運び裁縫箱に入れている役立つ道具で、本当にワンダフル!とても気に入っているので、裁縫好きの友達みんなにプレゼントしています。まさにみんなが持つべきアイテムですから!

 

ご協力ありがとうございました!

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