Vol.4 志知 希美さん in 京都
新シリーズ Cohana and Ninigi
ハンドメイドに恋して、ハンドメイドと生きてる! そんな「人」を特集するシリーズです。手芸でにぎやかに実り豊かに活躍されている「人」を中心に、Cohanaとのご縁を交えて、さまざまな視点でハンドメイドの世界を紹介していきます。
Cohana and Ninigi Vol.4
志知 希美(しち のぞみ)さん in 京都
伝統の加賀ゆびぬきを追求し、2021年に「アトリエ立夏」を京都で創業。伝統的なゆびぬきだけにはとどまらず、その技術を応用した糸で織りなすジュエリーも創作されています。
志知さん実は、Cohanaのブランド立ち上げ時代にクリエイティブのメンバーとして最初の商品ラインナップのプロデュースに携わってくれた人物です。Cohanaから独立後は、伝統の継承と新しい感性で、繊細で美しい作品を次々と生み出されています。作る喜びを広めるワークショップも積極的に開催されています。
Vol.3前編、Vol.4 後編の2回に分けてお届けいたします。今回は後編、志知さんの製作や創作、今後についてなどをお聞きしました。
創作活動のインスピレーションについてお聞かせください
その時の自分の中の作りたいもの、いわゆる旬を大切に制作しています。
特に一番主題になりやすいのは季節です。春へ向かうわくわく感、夏の思い出の淡い記憶、秋や冬の侘しさ、空気感など。そのほか世の中のトレンドも、琴線に触れれば取り入れます。
結果、作品から楽しさやわくわく感、趣が滲み出ると思うので、あまり自分のスタイルはこう、と決めずに気の赴くままに作っています。
「乙女椿/胡蝶蘭/侘助」
昆虫図鑑から
美しいゆびぬきを製作するために気を付けていることは何ですか?
手の荒れは直接そのまま作品に響くので、乾燥には気をつけています。糸が繊細なので、ちょっとしたささくれにも引っかかってしまって。針やはさみと同じく、手も道具だと思ってケアしています。
ゆびぬきに加えて製作されている Thead Jewelly 糸のアクセサリーを拝見させてください
そよ風で揺れるほどに軽いピアス<broom tassel earring>です。
絹糸を巻いている上部は、芯なしで直接房に糸を巻いているため軽量ですが、技術がないと綺麗には巻けません。「房にする・均等に巻く・巻きながら色変えする」という3つの技術が無ければ作ることができず、技術が伴ったからこそ生み出せたアクセサリーだと思います。
アトリエを拝見させてください
鴨川にもほど近い京都の清水五条に、町屋を改装したショップ兼アトリエを構えています。教室もやっているため、駅からもアクセスしやすい場所にしました。日々なにかしら机で作っていますが、お気軽に見にいらしてください。
伝統工芸が集まる京都でのハンドメイドのトレンドがあればお聞かせください
京都は伝統を大切にする町ですが、同時に今の形を守るだけでは時代に求められなくなる…ということもよく分かっていて、変化を日々感じます。商業が盛んで目の肥えた方が多いからかもしれません。トレンドとしては、革新のためのコラボレーションが最近のテーマのように思います。
これから挑戦してみたいことがあれば教えてください
海外の方にも日本のゆびぬきのことをもっと知ってもらい、購入する・体験するの両面で楽しんでもらえればと考えています。去年は実際に、海外から京都にいらした手芸好きのグループの皆さんにゆびぬきのワークショップ を開催しました。
自分の英語スキルを磨いて、歴史や制作のコツをよりきめ細やかにお伝えできるようになりたいです。海外に直接販売に出ることにも挑戦してみたいと思っています。
京都の伝統や文化の魅力を守りながら、ニーズと共存していく動的パワー。その部分は志知さんの創作活動にも共通する点があるように思います!今後のご活躍を楽しみにしています。