Vol.5 森川さん in ロンドン&ベルギー

シリーズ Cohana and Ninigi

ハンドメイドに恋して、ハンドメイドと生きてる! そんな「人」を特集するシリーズです。手芸でにぎやかに実り豊かに活躍されている「人」を中心に、Cohanaとのご縁を交えて、さまざまな視点でハンドメイドの世界を紹介していきます。

 

Cohana and Ninigi Vol.5

森川 真彦 さん in ロンドン & ベルギー

2012年にイギリス ロンドンで、アパレルメーカー Studio Masachuka Limited を設立。日本の伝統を現代のニーズに反映した質の高いクリエイションでヨーロッパを中心に活躍されています。
作り手との距離が近いものづくりや、日本の伝統の知識と技術を伝え繋いでいくものづくり、ファッションだけにとどまることのないチャレンジをされています。
ハンドメイドを通して日本文化の豊かさを体感できる、日本製の縫製用品や素材を販売するオンラインサイト EIGHT NEEDLES も運営されており、そこでCohanaの製品も取り扱っていただいております。

 

Vol.5前編、Vol.6 後編の2回に分けてお届けしています。前編は、森川さんのワールドワイドな冒険と ご活躍をご紹介します。

 

 

Cohanaとのご縁についてお聞かせください

コロナ禍にオンラインサイトで主にヨーロッパの市場に向けた、日本製の縫製用品の販売を始めました。その頃にCohanaを知り、そのコンセプトに非常に興味を惹かれました。
日本の伝統に現代のデザインを取り入れ、世界に通用する質と利便性で素晴らしい商品を製作されているので、いつも感銘を受けます。弊社のサイトで販売させて頂いておりますが、Cohanaの製品は常に上位の人気を誇る大人気アイテムです。

 

ロンドンやベルギーを中心にヨーロッパでお仕事されていますが、なぜ仕事の場所としてヨーロッパを選ばれたのですか?

学生のころから、 特に業種に関係なく海外で起業したいという漠然とした思いがありました。学生時代はバックパッカーをしながら世界を放浪しておりました。
実はヨーロッパには興味が無かったのですが、20代の頃に知り合った妻がベルギー出身ということもあり、2人でお互いの目標のためにロンドンに移り住みました。2021年に現在住まいのあるベルギーに家族で引っ越し、今はスタジオのあるロンドン及び他のヨーロッパ諸国とベルギーの家を毎週のように行き来しております。

 

ハンドメイドヒストリーをお聞かせください

幼いころから物を作ることには人一倍興味がありました。高校生の頃からファッションに興味を持ち始めました。大学時代はメキシコで路上書道パフォーマーとして集めた資金でデニムを購入し、留学先のカナダで和柄を使ったカスタムデニムの製造販売を始めました。

 

メキシコでのストリート書道の様子

 

メキシコでの生活

 

その後シンガポールで就職したのですが、大学時代の経験が忘れられず離職。地元の熊本に戻り、友人と2人でデニム製造販売会社を立ち上げようとしましたが、技術も全くなかった為、縫製の勉強を一からしようと決意し、地元の縫製工場に弟子入りしました。そこで3年間、まさに朝から夜中まで毎日、服作りとモノづくりの哲学を指導して頂きました。

 

その後イギリスに渡り、ロンドンの縫製工場で働く機会を頂きました。

ロンドンでの縫製工場

 

2012年に開催されたロンドンオリンピックのコスチューム作製にも携わることができました。

オリンピックロンドン用のコスチューム作製

 

ロンドンオリンピック開催式で使用されたドレス(左手前の少女)

 

その縫製工場で出会った日本人デザイナー城内香奈と一緒にブランドを立ち上げ、それと供に縫製業も請け負うようになり、現在のスタジオマサチュカを2012年に設立いたしました。

ブランド運営時

 

 

それからは毎日パターンと縫製の日々でしたが、日本とは違い、デザイナーとの距離が非常に近く、服作りをする上でヨーロッパは環境がいいなと感じました。

コロナのパンデミックの影響を受け、当時請け負っていた仕事が全てなくなってしまいました。その間は毎日マスクを製造販売したりして、なんとか事業を継続させることができました。

その後、2022年にユニクロとのパートナーシップを結ばせて頂き、現在 ユニクロのSDGs 関連の事業のサポートを行っております。
刺し子などのワークショップ、アップサイクル製品の製作、ユニクロのスタッフ向けの技術指導また、店舗用のディスプレイ作製など幅広い内容を手掛けています。

 

ユニクロ ロンドン リージェントストリート店 
RE. UNIQLO STUDIO 第一号店 リペアスタジオ

 

ユニクロ スウェーデンの店舗用に製作した 2m×8mの刺し子カーテン

 

ユニクロ デンマークの店舗用に製作した刺し子タペストリー

 

ユニクロ デンマークの店舗用に製作した刺し子ジャケット

 

日本の刺し子がヨーロッパでこのような形で活躍しているのは素晴らしいことですね

今ではヨーロッパでも手芸として広く親しまれている刺し子ですが、日本の元祖SDGsですよね。
刺し子の歴史は約500年前、日本における木綿の普及とともに始まったと言われています。綿の生地が貴重品であった為、布の保温性や強度を高め、繕い補強し、最後まで大切に使いきるために、当時を生きた人々の知恵と手仕事から生まれた伝統技術です。
刺し子で楽しみながら、衣類を活かしてさらに愛着をもって使えるのなら、新しいライフスタイルの提案として素晴らしいことだと思います。

 

様々な経験を重ねられ、どんどん広がっていく世界!森川さんの行動力にとにかく感服です。
メキシコでのストリート書道から、現在のヨーロッパでの刺し子を使った補修とリメイク… 国や ステージが変わっていっても、お客様とのタッチポイントとの核に「魅せる日本文化」が共通点であることがとても興味深いです。

 


 

出張の際にいつも愛用しております。移動の時間が多く常に刺子の製作が出来るよう、道具を一式そろえて持ち歩いています。特に飛行機を使うことが多いので機内持ち込みの出来る関の豆ばさみはとても重宝しております。


ご協力ありがとうございました!
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